投稿者: nobuaki

第六十九段は、『伊勢物語』の書名の由来ともされる、在原業平とされる男が、狩りの使いとして伊勢の国を訪れる話。

梁塵秘抄の中でも有名なこの一首は、その歌詞については解釈を読み手に委ねるような抽象性があって、様々な解釈がなされる。

西洋音楽特有のアクセント感(奇数拍が強拍、偶数拍が弱拍といったような)によらない、音の身振り、所作、あるいは音の身振りの呼吸、そういったものを象徴するものとして、「妙」の字をあてた。

第六十五段は、古今和歌集に収録されている、題知らず、詠み人知らずの和歌四首(「さりともと」の歌のみ、題知らず、典侍藤原直子朝臣の作)をもとに構成され、ものがたりが構築されている点、異色の段となっている。

唐から海を渡って流れ着いた竹、そしてそれを材料にもちいた笛ということを主題とした今様は、『古今目録抄紙背今様』や、同じ『梁塵秘抄』の347番の歌にもみられる。

和歌は、芸術的表現であり、作品であり、かつ歌を詠むこと自体、ある場面の出来事である(場との連続性を保持した芸術形態)。

日常の一場面を切り取ったような内容の歌。尼と雨(あま)を掛けている。

このあたりの段は、短い地の文に歌が一首という構成のものが多い。その短い段の連なりには、作品全体がそうであるように、”むかし”、”男”というワードがおおよそ通底していて、ある人物の様々な場面々々としての趣きがある。

おそらく京のみやこからみて、さまことなる遠方の地のめずらしい光景をうたったもの。当時の富士山は、歌にあるように絶えず煙を立てる山であったとのこと。菅原孝標女の『更級日記』にも、作者が少女時代に見た富士の山の様子を描いた場面がある。

第二十四段は、物語の流れの骨子が和歌によって賄われていて、歌物語らしい構成となっている。今回は、七首のうち三首の和歌について、視聴用の音源も用意した。