もろこし唐なる唐の竹 佳い節二節 切り込めて
『梁塵秘抄』四句神歌 381
よろづの綾羅に巻き籠めて 一宮にぞ奉る
唐から海を渡って流れ着いた竹、そしてそれを材料にもちいた笛ということを主題とした今様は、『古今目録抄紙背今様』や、同じ『梁塵秘抄』の347番の歌にもみられる。この流れ着いた竹、「寄竹」は古来から笛の材料として用いられることがあった。(小西甚一著『梁塵秘抄考』)
小磯の浜にこそ 紫檀赤木は寄らずして 流れ来で
『梁塵秘抄』四句神歌 347
胡竹の竹のみ吹かれ来て たんなたりやの波ぞ立つ
「たんなたりや」は、笛で奏する音を声で歌う唱歌(しょうが)を表すものらしい。邦楽の管楽器は一般に竹製であると思うが、浜辺に流れ着いた竹は、笛のための竹というふうに目に映ったものだろうか。波の音は、風の音に合い、風の音は笛の音に見立て、連想はしやすいように思う。