カリオペの憂鬱 第二巻 その二十一

その二十一は、第3182~3372小節。

美しい声を意味する名を持つ、ギリシャ神話における詩歌文芸の女神カリオペは、叙事詩あるいはエレゲイアを司るとされる。また、記憶、伝承を象徴する女神ムネーモシュネーの娘である。

竪琴の巧みな奏者で、神話において具体的に音楽というものを印象付けるオルフェウスはカリオペの息子であるが、より直接的に記憶というものの象徴につながるカリオペを始めとする女神ムーサイは、人の詩歌文芸全般の活動においてより根源的な意味での象徴とも捉えられるだろうか。

『カリオペの憂鬱』として作曲しているものは、一つの具体的な器楽ではあるが、混沌とした音の連なりでもある。響きつつ音の連なるものは、そのようなギリシャ神話のムーサに例えられるような、音のありようであればよいのかもしれない。

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