その四は、『伊勢物語』第十段から第十五段までの和歌十首。
- 前回 その三 第九段
第二句、第四句のリズムの解釈について
作曲された和歌には、リズムを表記していない。たとえば一音々々長く引き伸ばしてもよいし、基本的にどのように歌ってもよい。
もし日本語として普通に和歌を音読するようなリズムに、そのまま音程をつけて歌うような場合、第二句と第四句のリズムは選択の余地が生じる。すなわち、つぎのような二通りのリズムパターンとなる。
このリズムパターンについては、それぞれの作例についてどちらを選んでもよいというものではなく、基本的にどちらか一方が正しくて、どちらか一方が適さないということになる。ということは、二通りのパターンを当てはめたうえで、感覚的にどちらのリズムパターンが適しているか判断するのはそう難しいことではないということにもなるだろう。
判断の基準の半分は、日本語としての自然さ。これは日本語を母語とする人にとって容易に判断し得るもの。もう半分は音楽的に自然であるかどうかということになる。
本投稿からそれぞれのリズムパターンの例を挙げるなら、まずパターン1の例。
次にパターン2の例。
音楽的に自然であるかどうかの判断は、それを言葉で説明するなら音楽理論の話になるけれど、それもやはり二通りを比較したうえで旋律として自然であるかどうか、ある程度感覚的に判断できるのではないかと思う。