山の調めはさくら人 海の調めは波の音
また島めぐるよな 巫がつどひは中の宮
厳粧遣戸はここぞかし
その二は、四句神歌より。この「山の調めは」の歌は、厳島神社の光景を詠ったもの。「さくら人」は雅楽の催馬楽の曲名。「山の調めはさくら人 海の調めは波の音」の句は、雅楽の管楽器の響きを風の音に見立て、それが波の音と混ざりあって響くさまを歌ったものだろうか。島を巡るのは、厳島神社の神事。厳粧遣戸は美しく装飾された引き戸。
ヴォーカルの音源には、Synthesizer V Saki AI ライト版を使用。
もうひとつの版
こちらの版では、七五句の言葉の調子にそのまま節をつけるかたち。今様の歌詞は、七五句が四つ連なる規則的な形式である場合が多いけれど、中には不整句が混じって不規則な形式をとる場合もあり、特に四句神歌において散見される。
こちらの版のスタイルでは、「山の調めは」の歌のように不整句が混じっている場合、形式の不規則さがわかりやすい。