月かげゆかしくは 南面に池を掘れ さてぞ見る
379 『梁塵秘抄』 四句神歌より
琴(きん)の琴の音聞きたくは 北の岡の上に松を植ゑよ
古典の作品において琴と言えば、琴(きん)の琴、筝(そう)の琴、和琴(わごん)などであるが、琴の琴は七弦で、弦を支える柱を持たない。「松を植ゑよ」とあるのは、琴の琴の音と松風の音との組み合わせが、良いミックス(audioの概念)として古典作品の中で用いられる例が少なくない。「琴の音に峰の松風通ふらし何れの緒より調べそめけむ」(斎宮女御「拾遺和歌集」)や、源氏物語の「松風」の巻など。また、源氏物語において光源氏は琴の琴の名手として描かれている。