南無阿弥陀 仏の御手に掛くる糸の
493 『梁塵秘抄』 二句神歌より
終わり乱れぬ 心ともがな
この歌は、法円上人(1178-1231)作の和歌で、新古今和歌集巻第二十、釈教歌に収録されている。これが歌謡として歌われた。
仏像の手に糸を掛け、これを臨終に際して横たわるものが手に取って引き、念仏を唱え、極楽往生を願うとされる、浄土教の臨終行儀に関連する内容。
阿弥陀仏への帰依を旨とする浄土教では、臨終の行儀として、往生浄土を果たせるように念仏を行うべきことを説いた。(中略)
臨終行儀は、死に行く者と、それを看とり送る者の双方が、極楽浄土への往生をめざし、阿弥陀仏の来迎引接(らいこういんじょう)を求めるという浄土教の教義の中核に触れる場であった。
WEB版新纂浄土宗大辞典「臨終行儀」の項より
五色の糸が用いられた。「乱れ」は糸の縁語。「掛くる糸の」の格助詞「の」は、連用修飾語をつくる働きの「の」で、「~のように」。