西洋音楽特有のアクセント感(奇数拍が強拍、偶数拍が弱拍といったような)によらない、音の身振り、所作、あるいは音の身振りの呼吸、そういったものを象徴するものとして、「妙」の字をあてた。
「妙」は優れているという意味だが、どう優れているかを言葉で捉えきれない。ある種の不思議な働きのようなものも想起させる。あいまいさも含んだ言葉。
この「妙」に、先に述べた音の身振りの呼吸という考えを合わせてみる。それは何か見分けにくい、きめ細かな働きであるが、一つの在り方であるところの「妙」。それがこの作品の音のあり方を直感的に裏付けはしないかと思われた。
この作品は、音楽標語で言うところのtempo giustoというわけではないのだが、しかしながら休符を正確に休むということが、この作品の構造の礎となるようなスタイルとなっている。