伊勢物語 その三 第九段

その三は、第九段の四首。

和歌の作曲の際して、音源も一緒に投稿していたけれど、書き表すことのできる譜がより重要であるように思う。伴奏は、笛に限らないし、旋律はあるいは引き伸ばして歌ってもよい。旋律を投稿するスタイルでいこうと思う。

序詞と旋律

「駿河なる」の歌は、「駿河なる宇津の山辺の」が「うつつ」に掛かる序詞となっていて、第一、二句が第三句を修飾するかたちをとっている。序詞は、基本的には飾りの部分であるから、この歌のメインとするところは「うつつにも夢にも人にあはぬなりけり」となる。

旋律も同様に第一、二句の旋律が第三句の旋律を修飾する序となるようなニュアンスで書いている(「うつつにも」から音楽が始まるというようなニュアンス)。

これは必須ではないけれど、この和歌の旋律についてはそのようにしている。それによって、この旋律に和声をつけるとして、仮に第三句に主和音(a:I)以外の和音(a:VI, a:IVなど)をつけるとしたら、歌の正しい解釈とはならないだろう。

序詞を持つ和歌の構造に合わせた旋律を付けることによって、飾りの部分と、歌の主となる部分とがうまく対照される。旋律によって序詞の効果がより音として活かされるように思う。

序詞は、それに続く部分を修飾するものとして習ったりするけれど、もう少し音楽よりに、時間芸術よりに序詞というものを解釈するならば、それは歌の主とする部分、歌の真に内容となる部分が、より短くなるというところにエッセンスがあるように思う。

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